たなさと

バンドを語りたい、ただそれだけ。CDレビューやライブレポなどもするので一応ネタバレ注意

フレデリックとTOOBOEで広島の海を燃やす

フレデリックの対バンツアー広島公演に行ってきました!ゲストは初めましてのTOOBOE!


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長らくワンマンツアーを主にやっていたフレデリック、久々の対バンツアー「UMIMOYASU」。ゲストには新進気鋭のアーティストが並ぶ。広島公演のゲストが2022年に "錠剤" で出会って衝撃を受けたTOOBOEということで是非参戦したかった。無事チケットを確保して参戦。

会場は広島CLUB QUATTRO。かなり久々だ。着く頃には入場が始まっていて、流れでそのまま並んで入場してしまったので写真を撮ったり物販を除いたりし損ねた笑

当日券が出ていてソールドアウトではなかったが、後方の座席も解放されていてほぼ満員に近い。フロアの後方で待機していると定刻ちょうどに開演。対バンのTOOBOEから始まった。

 

 

TOOBOE

バンドメンバーに続いてjohnさんが登場。派手な柄シャツを着た風貌。バンドメンバーもギターの人は刺青ゴリゴリだったりベースの人はグラサンかけてたりとなかなかイカつい。

年明けに出たフルアルバム「Stupid dog」から "ミラクルジュース" で幕を開け、"天晴れ乾杯" "往生際の意味を知れ!" とMV曲を続ける対バンらしい序盤戦。johnさん、ピンボーカルの時もギター弾きながら歌う時も左足をずっとお立ち台に乗せて歌う様がカッコいい。後ギターの人も激しい。MESHICOさんというらしいが、johnさんと別でめっちゃ声上げて煽ってくる笑

最初のMCで言っていたが、広島でのライブも、お呼ばれする方の対バンも初めてとのこと。TOOBOEとしては「交遊録」と題した対バン企画をやっており、何年か続けていった先にいつかフレデリックとか呼べたらいいよね、とチームで話していたそう。「先に呼ばれちゃった」と笑いを誘った。「皆がいつか数年後にフレデリックとTOOBOEのツーマン観たんだぜって言えるようなライブにします」と改めて意気込み、次のセッションへ。

「Stupid dog」から "咆哮" を演奏。MVもあるとは言えアルバム曲なのでフレデリックのファンには馴染みがなかったかも知れないが、と思えばその次になんとフレデリックの "スパークルダンサー" をカバー!イントロの初っ端から歓声が上がった。ワンコーラスのみだが原曲よりキー低めでしっかりアレンジされていて、この日の為に仕込んできた事がよく分かる良カバー。観客も原曲さながらに手を振って応えた。

そして来ました代表曲 "錠剤"。本当にカッコいい。

何を隠そうリリース当時の年間ベストで1位に選んだ曲です。ずっと生で聴きたかった。改めて観るとサビもTOOBOEの中では比較的珍しく裏打ちリズムで、楽しい。もうこれでチケット代は回収しました。

続いてのMCでは自身が雨男だと言う話を。この日、昼頃に凄まじいゲリラ豪雨があり、かと思えばすぐに晴れてきたりと、天候が不安定だった。johnさんは実家に帰って雨が降り、そのまま雨雲と一緒に戻ってくるような感じの雨男らしい笑 ご出身は分からないが、と言うことは東京より西だな。笑

そこから引き続きフレデリックへの想い入れについて。「影響を受けてないと言えば嘘になるぐらい聴いている」とjohnさん。フレデリックの健司さんがやっている「OFF KEN RADIO」を挙げ、ラジオ内で健司さんが好きだと言っていた曲だという "爆弾" を次に披露した。改めてフレデリックへの愛・感謝・敬意、全てを感じる。

久々に演ると前置きながらも堂々としたパフォーマンス。サビでの観客も巻き込んだ『爆弾級のナニカを僕だけに頂戴』のシンガロングも圧巻だった。

そこからの "チリソース" "ダーウィン" といった剽軽で軽快な中毒性のある曲を連発。"チリソース" でステージが赤黄緑の照明に彩られたの、めっちゃ「チリソース感」あってよかったな。ていうか照明と言えば、序盤から思ってたんだけどクアトロに新しくレーザー照明導入された?まさかTOOBOEサイドの演出かと思ったけどフレデリックの時もあったし。クアトロ設備投資した?

最後のMCでは「語り始めると長くなりそうなので」「『龍が如く』の舞台なので広島大好きです」とだけ言って拍手を誘いつつ、ラストのセッションへ。めちゃくちゃ盛り上げようと意気込む煽りをしておきながら「じゃあ悲しい曲やります」という曲振りで客席から「えぇ…?w」という声が漏れていたが、新曲 "痛いの痛いの飛んでいけ" へと入った。

"錠剤" と同じ擬態するメタ氏の手がけたMVも話題になり一気に伸びている。曲も映像もなかなか衝撃的だが、生で聴くと一層インパクトがあった。間奏の不穏なメロディと、そこから爆発する大サビには鳥肌がたった。

ラストはメジャーデビュー曲 "心臓" と "浪漫" を。こう思うとTOOBOE漢字二文字の曲名多いな。"心臓" の間奏での三・三・七表紙の手拍子だったり、"浪漫" の特徴的な不協和音だったり、本当にライブでの一体感や楽曲の中毒性に最後まで惹きつけられっぱなしだった。

初めて観られて、やっと観られてよかった。これからもどんどん大きくなっていくだろうが、ついていきます。

 

セットリスト

01. ミラクルジュース
02. 天晴れ乾杯
03. 往生際の意味を知れ!
04. 咆哮
05. スパークルダンサー
06. 錠剤
07. 爆弾
08. チリソース
09. ダーウィン
10. 痛いの痛いの飛んでいけ
11. 心臓
12. 浪漫

 

 

フレデリック

ホストフレデリック、登場するや否や健司さんがまずはTOOBOEを讃え、「『UMIMOYASU 2024 -WAVE-』、今日の海は荒れるぞ」と煽って一気にボルテージを上げ、新曲 "CYAN" からスタート。ゴールデンウィークOTODAMAで観た時はリリース前の新曲として披露されていた。シアンに因んだ青く清涼な照明に照らされながら初っ端からギアを上げる。

新曲でしっかりと暖め、定番の "KITAKU BEAT" "逃避行" と続けた。どちらも手拍子ポイントがふんだんにある曲で、客席の一体感がどんどん高まっていく。"逃避行" はなんか久々に聴いた気がする。フェスではそこまで頻繁に演ってるイメージないからな。

MCでものっけから健司さんがTOOBOEをベタ褒め。対バンを選ぶ基準として「普段から仲良いバンドと一緒に作るとか、事務所の先輩後輩とかあるけど、俺は自分が音楽で惚れた、ビビッときたそのままの感覚を届けたくて選んでます」と説明し、純粋にアーティストとして惚れ込んだ熱意を剥き出しにした。「TOOBOEやばいでしょ?」「底が知れなすぎるというか、聴く度に『まだそんな引き出しあんの?』てなる」と賞賛の嵐。本人もファンも感無量だっただろう。しかし当人たちは完全初対面とのことで、「関係性は、ゼロです」と対面時のぎこちないエピソードも聞かせてくれた。

「TOOBOE最高、フレデリックも最高、貴方達はどうですか?貴方達と一緒に作りたい」と煽り、次のセッションは "かなしいうれしい" から。ギターとシンセが同じフレーズをなぞるイントロが印象的な曲だが、赤頭さんのギターから始まってシンセが入ってくる流れで始まったので新鮮な入りだった。

ゆったりとしたアウトロが静かに消えていったと思うと、そのまま "TOGENKYO" のシンセに繋がった。ギターフレーズが始まる前から曲を察して盛り上がるフロア。思えばこの日は新しめの曲とMV曲多めの、どちらかというとTOOBOEのファンへの間口を広げてるのかなと言うような、対バンらしいセトリだったなと。

続いて "CYAN" の一つ前の新曲 "PEEK A BOO"。生で聴くのは初めてである。

構成が変態すぎてあんまり伸びてないけど、昔と今のフレデリックが中毒性を増幅させる形で融合されててすごい曲だと思うよこれ。ガシラさんの剽軽なギターリフも、音源以上に激しい緩急のギャップも、目が離せなかった。

ここで初めて非MV曲、前作「優游涵泳回遊録」から "虜" を。

虜

まさに聴くものを虜にする曲だが、アウトロを延ばして『どう考えたってもう』を繰り返し続ける攻めたアレンジ。この曲で尺を大幅に取るアレンジをする度胸に技量と自信を感じる。

続いて "ペパーミントガム"。こちらもスローテンポがクセになる、曲名通り噛めば噛むほど何とやらな曲。ずっしり歪んだギターとベースの音が刺さってきます。この日のセトリの中で一番、重低音が一番心臓に響いてきた気がする。

ここで、健司さん以外のメンバーも話すMCコーナーへ。武さんも前に出てきてめっちゃ盛り上がるフロア。先のjohnさんが雨男と言う話から、康司さんが「フレデリックは晴れバンドなんですよ」「ゲリラ豪雨が降ってまた晴れてを繰り返して…」と話すところにガシラさんが突っ込んだ「天気も対バンしてる」って表現が面白すぎた笑

そんなガシラさん、TOOBOEバンドメンバーのギタリストMESHICOさんについて、「見た目は怖いがトイレの便座ちゃんと下げるから絶対いい人」と謎のエピソードを話した笑 まず、怖そうな人という前提で話したいから客席の皆に「怖そうと思った人?」で手挙げさせたのも面白かったな笑

TOOBOEのファンもいる中でノリの良いフロア、忘れてはいけないのが自分たちの告知。フレデリックは来年、神戸ワールド記念ホールでライブが決まっており、対バンということで康司さんが改めてその告知をした。盛り上がる客席を見て「この感じをこのままコピペして神戸に持っていきたい」と康司さん。ガシラさんが「広島から神戸3駅ぐらいやから」と言って武さんに「新幹線w」って突っ込まれてたのめっちゃ笑ったw 確かに、岡山の次に福山と姫路で停まるかどうかだもんね。すぐですね←

最後に健司さんにバトンタッチ。「ライブは最高なんやけどさっきめっちゃ腹立ったことがあって…」と不穏な前フリ。先のTOOBOEのライブにて、「"爆弾" の前にTOOBOEくんが『OFF KEN RADIO知ってる?』て聞いてくれた時、なんで手挙がったのめっちゃ少ないねん」と不服そうな表情を見せた笑 確かに自分も存在は知ってるけどラジオって聴かないからなぁ…radiko使わないとだな笑

そんな流れで最後のセッションへ。"銀河の果てに連れ去って!" がこの日も聴けた。非MV曲だけどフェスでも常連になりつつあって、毎回聴けるの嬉しい。今後新曲が増えていっても定期的に演ってほしいな。

ラストは "ジャンキー" "オドループ" "スパークルダンサー" という強すぎる3連打。"ジャンキー" のイントロ、本当に飛び跳ねてしまう。手拍子ポイントも抜かりない。

からの、"オドループ" に入る前の健司さんの「"オドループ" 演りまーす」というゆるい曲振りが印象に残っている。最近は康司さんのベースソロから入るアレンジが多かったし、何より一番の代表曲に対してある意味雑とも言える曲振りに、逆に曲に絶対的な自信がある様子が伺える。実際、サビではこの日一番の大合唱。みんな踊ってない夜を知らなかった。

そしてラストナンバーの "スパークルダンサー"。リリースから1年経ったものの根強くキラーチューンになっている。普通に演っても盛り上がるが、この日はやはりTOOBOEのカバーを踏まえての本家という事で盛り上がりが増していたように思う。

定番曲・人気曲多めで双方のファンに嬉しく、またTOOBOEへの愛も感じるパフォーマンスだった。

 

アンコール前、一部のお客さんの盛り上げ方が凄まじかった。アンコールを求める手拍子のリズムがだんだん速くなっていくのはどのバンドでもよくある事だが、リズムが合わなくなって消え入りそうになった時に声でアンコールを求めたあの感じ、熱意が凄くてよかった。「広島そんなもんかー!」とまで煽ってた兄ちゃん凄かったな笑 近くにいたんだけどライブ中もノリ方が半端じゃなかったです。初めて観たわ、アイドルじゃなくてバンドのライブでマサイする人。笑

そんな客席の熱い想いに答えてメンバーが再登場。繰り返し改めてTOOBOEを讃える健司さん。「TOOBOEって次の広島の予定あるんかな?」に対して客席から「ないでーす」て返ってきたの面白かったな笑 「(そこに)メンバーおった?」と笑う健司さん。自分も改めて広島でのライブは貴重だったんだな、良いもの観られたなと実感した。

続いて、対バンをやることの意味について「次に繋がるきっかけになったら嬉しい」と語る健司さん。この日フレデリックとTOOBOEが対バンしたというだけで終わるのではなく、これからまた次の対バン、次の世代との出会いに繋がっていけばいい、その入り口になれたらいいと。「ただ、いつかフェスでフレデリックとTOOBOEが被った時は極限まで悩んでください」でしっかりオチをつけるところも流石。笑 そんな想いを込めて、アンコールは1曲だけ "名悪役" を披露して終わった。ライブで聴くのは久々だな。

観客の熱意も相まってめちゃくちゃ良いアンコールだったと思う。良いライブでした!

 

セットリスト

01. CYAN
02. KITAKU BEAT
03. 逃避行
04. かなしいうれしい
05. TOGENKYO
06. PEEK A BOO
07. 虜
08. ペパーミントガム
09. 銀河の果てに連れ去って!
10. ジャンキー
11. オドループ
12. スパークルダンサー

en1. 名悪役

 

物販ではTOOBOEのTシャツとラバーバンド、フレデリックのアクキーを購入。

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Tシャツ、パッと見ではTOOBOEのグッズってわかんねぇな。ただの可愛いイラスト。逆に普段使いできそうなので気に入った。アクキーってあんまり買わない(使わないので)派だったんだけど、最近デザインが良いと普通に買うようになったなぁ俺。このフレデリックのやつも色合いが綺麗だった。これつけてまたTOOBOEもフレデリックも観にいきたいね。

 

以上!

色んなアーティストで対バン企画、対バンツアーって数あれど、その対バン相手の選ぶ基準について触れる機会って直接的にはなかなか無いから新鮮だった。そしてフレデリックなりのその基準にはゲストへの愛がしっかり詰まっていたし、TOOBOE側もホストへの感謝やリスペクトがパフォーマンスに表れていた。最高の対バンだったと思う。TOOBOEはCD買ってまた観たいと思ったし、フレデリックもまだまだ観続けたい。広島で演ってくれてよかった。両者ともまた広島来てください!

f:id:tana-boon:20240616221207j:image ※撮影許可あり

では(=゚ω゚)ノ

 

フレデリック UMIMOYASU 2024 -WAVE-

2024.6.16. 広島CLUB QUATTRO

フレデリック
TOOBOE