加藤マニ氏を知っているだろうか。邦ロックリスナーなら知っている人は多いと思う。今やすごい数のMVを手掛ける、有名な映像監督である。
この記事でも最初に挙げられてるように "ファントムバイブレーション" のMVは非常に有名だと思う。
そんな加藤マニ氏ですが、彼の創るMVは結構特徴的なものが多いと思ってる。その、MVがユニークっていう意味の特徴的じゃなくて、カメラワークに分かりやすい癖があって、観るとすぐ「加藤マニかなこれ」ってなる。もちろん例外はいくらでもあるし、特色が一辺倒じゃないからこんだけ多くのアーティストに信頼されてるんやと思うんやけど。
自分の思う加藤マニ氏MVのカメラワークの特徴は2つあって、
①少しずつ引いたり寄ったりor横にスライドする描写を多く繋げる
②演奏シーンはハンディでメンバーを舐めるように接写する
というのが多いように思う。言葉で設定するの難しいんやけど観てもらったら分かる。
今回はその特徴が特に出てて好きなMVをつらつら紹介していきたい。というかそれを口実にいい感じのインディーズバンドを紹介していきたい。
People Get Lady / ビレッジマンズストア
特徴①を終始一貫したこれぞ加藤マニって感じのMV。初めて観て一発で分かった。何となく分かると思う。一つ一つが「何してんの?」て感じのシュールな映像で、一つ一つが少しずつ後ろに引いていくアングル。時には直前の映像のアップもある。その場合も少しずつ引いていくアングルなのは一緒。
セーシュン / DIALUCK
最近活動を再開したDIALUCKの過去曲。これも知らずに観ていて「加藤マニじゃね?」と思って概要欄の説明見てみたらやっぱり、と。ボーカルの歌う姿を横スライドで写し、直後に同じ横スライドでボーカルのアップ。アングルや風景が変わるタイミングも小節の切れ目に合わせてあるから見やすい。
金土日 / 八十八ヶ所巡礼
こちらも横スライド+寄りアングル多め。1サビと大サビの演奏シーンは特徴②が色濃く出てる。
KENZOさんが寿司職人コスプレが似合いすぎだったり謎の發切りで緑一色振り込んでたり茶柱になってたりと意味分からん部分は多いが、それでも八八にしては比較的見やすいMV。笑
スクランブル / vivid undress
最初は加藤マニ作品だと気づかなかったが、知ってから意識して観るとほんとに、特色がモロに出てる。序盤の描写やエキストラが行き交う描写は①で、特にこのMVは画面の枠も高さや幅が移り変わるのが特徴的。2サビ以降の演奏シーンになると②が目立つ。特に楽器隊メンバーの手元をしっかり写しているのはバンドへの敬意が見えるなぁ。
一つの作品の中でも特徴の切り替えというか撮り分けがハッキリ分かる。
This is a pen. / Helsinki Lambda Club
全編通して特徴②。コマ割りの多いわちゃわちゃ感がマニさんらしさ出てる。落書きしまくっていくっていうコンセプトも曲名に合ってる。てか今となってはめちゃくちゃ密だなこの演出…
思えばこの曲がリード曲になったフルアルバム「ME to ME」からもう4年。先日久々の新しいフルアルバムが出たけど、各曲の個性が強烈で粒揃いです。まだ盤としては聴いてないけど。
バッド・レピュテイション / ナードマグネット
ナードのMVもマニ氏が手掛けているものが多い。かつ曲によって①の特徴と②の特徴が目立つ演出が分かれてるイメージ。この曲は圧倒的に②。大人数で盛り上がっている感じの演奏シーンにおいてメンバーの接写や周囲で盛り上がる人々の様子を細かく刻む感じがとても特徴が出ている。そして、曲に合った躍動感に溢れている。もう普通に、曲が好き。
ナードはBa. 知子さんが抜けたのが痛すぎるが、何とか頑張ってほしい…!!
以上!
まぁ総じて言うと加藤マニ氏のMVはカット割りが多いのが目立つ特徴かな。観てて疲れない程度に変化が多くて、演出にバリエーションがあって、演奏シーンも躍動感が出てる。それに歌詞のフレーズひとつひとつを丁寧に演出に落とし込んでて、アーティストや楽曲への敬意が感じられるなぁと思う。支持される理由が分かります。
もちろん他にも、ここまで色濃く特徴が出てるわけではないが好きな曲/MVや、好きでずっと観てたけど実はマニさんだったみたいなMVもたくさんある。本当にえげつない数を手がけている。才能ですね〜。
最近はもはや監督が加藤マニだって聴くだけでとりあえず観てみようってなってるもんな。こんな感じで監督からMVを観てみるのも面白いと思います。
では(=゚ω゚)ノ