たなさと

バンドを語りたい、ただそれだけ。CDレビューやライブレポなどもするので一応ネタバレ注意

好きだからこそしっかり考察しておきたいグッドモーニングアメリカの敗因

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グドモ活動休止。悲しい。悲しい一方で、「あかんかったか…」と色々察してしまうところもある。それが余計に悲しい。

確かに目に見えて失速してはいた。でも何だかんだ続けてくれるもんやと思ってた。最近ボーカル金廣さんのソロ弾き語り活動が目立ってきてるとは思ってたけど、結局。

 

グドモは本当に2010年代前半の4つ打ちロックブームの火付け役になったバンドである。KANA-BOONよりもKEYTALKよりも一足先にその音楽性を確立した。そんなグドモがなぜここまで人気が落ち着いてしまったのか。個人的には正直楽曲のクオリティや良し悪し関係ないと思ってます。曲の問題でもメンバーの問題でもたなしんの問題でもない。

変わらないでほしかったところだけピンポイントで貫かなかったこと。

こう書くと抽象的だけれども、具体的には楽曲のタイトルとCDのジャケット。もっと言うと、買わなくても、何なら聴かなくても分かる部分です。

 

前身バンドfor better, for worseからグッドモーニングアメリカに改名し、インディーズ時代のミニアルバム「空ばかり見ていた」から数年間一貫していたのは、曲名とジャケットが特徴的やったこと。

リードトラックじゃない曲でも "そして今宵は語り合おう" "世界終わらせないで" "それでも風は優しく" といったように、歌詞のフレーズをそのまま抜き出したような、2,3文節ぐらいある曲名。これが唯一無二だった。

そしてジャケット。keng kongという絵師さんの手掛ける独特のイラストがグドモのジャケットの特徴だった。

この2つはメジャーデビュー後も変わらず、「未来へのスパイラル」「in トーキョーシティ」までは間違いなくシーンを引っ張っていた。

 

しかしこの次のアルバムで歯車が狂い始める。

初の武道館公演を発表し、気合い十分にリリースした新作「グッドモーニングアメリカ」。

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やったなと思った。マジで。

武道館に向けて張り切ってたのは分かる。でも何故そんなジャケットにした。そしてタイトル。セルフタイトルのアルバムって、本当にリスキーで諸刃の剣なんやなと思った。グドモみたいな、ずっとリード曲の曲名をそのままアルバム名にもしてきたバンドは特に。

実際このアルバムのリード曲 "ディスポップサバイバー" はめちゃくちゃカッコいい。

だからこそジャケットも従来通りのイラストにして、アルバム名も「ディスポップサバイバー」でよかったんじゃないかって本気で思ってしまった。

そして何より、そんだけ張り切って臨んだ日本武道館公演がソールドアウトしなかった。平日だったのもあったけど、そもそもフェスで騒ぎたいだけの層が群がった結果の人気であって、メンバー人気・楽曲人気で指定席を埋められるバンドじゃなかった。これはグドモに限らず、2010年代前半に出てきた4つ打ちバンド全般に言えることなんやけどね。まぁそう考えると武道館公演自体に漕ぎ着けただけでグドモは成功例も成功例なんやけども。

とにかく、「気合い入れて攻めたアルバム出したのに武道館埋まらなかった」というイメージだけ拡散して、一気にグドモは失速していく。

 

この次のシングルで巻き返せなかったのが本当に痛かった。スマホゲームとのタイアップが付いた "ノーファング"。

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いやだからさぁ。曲名とジャケットさぁ。

この時はガチでがっかりした。曲が普通にカッコよかったから余計に。"ノーファング" ってまぁ確かに歌詞の内容的にはそうなんやけどさ、歌詞の中にはそんな単語入ってないやん。"牙などない僕は" とかでよかったやん曲名。んでジャケットもタイアップ先のゲームに完全に食われてて、何から何までグドモのニューシングルに見えない。

この辺りから俺は、新譜が発表される度に「次こそは…」と期待というか懇願していた。

 

全然関係ないけど同時期にミイラズも「次こそは脱EDM…」と思いながら新曲聴いてました。帰ってきてくれてよかった。

 

そんな中リリースされた次作「鉛空のスターゲイザー」。

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来た!お帰り!!曲名復活、ジャケット復活、これはアルバム期待できるなと思ってたら

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酷くなっとる…

"フォトグラフ" "マイライフ" "フライハイ" "ダイヤモンド" "SOS" "カラフル" "おまけ" てグドモらしさが全くない。いや、どの曲も良いんよ。聴けばどれも良曲ばかり。ただ昔からのリスナーとしてはこの並びを見て「今回のアルバムも楽しみやな」てならないんだよ。

この作品で完全に「もうあかんのかな」て思ってしまった。このあとリリースした「502号室のシリウス」「!!!!YEAH!!!!」では楽曲のクオリティは落ちないどころかサウンドの幅も広がってきてて、曲名も昔の感じが戻ってきてはいたが、時すでに遅し。

そして結局今回の活動休止に至ってしまった。ベストアルバムをリリースした時は心配になったものの、「!!!!YEAH!!!!」がすぐに出たからちょっと安心してたのにな。

これが僕の思うグドモの敗因です。楽曲名とCDジャケット、ここに関して初期からのスタイルを貫かなかったのは正しい選択ではなかったのかなと。

 

もちろん他にも色々原因はあるとは思う。そんな表面的な条件だけが全てではない。

キュウソに言わせれば『運とタイミング重要』ですね。特にこの2012〜2013世代のバンドはその1,2年後に出てきたメンツに食われた感がどうしてもある。WANIMAとかONAKAMAの3組とかフレデリックとかミセスとか。これは本人たちにはどうしようもない問題で、バンドって難しいなぁと思う。

 

何より曲名とジャケットだけでこんだけ喋り倒したけど、多少過剰な主張やとは思うし、反対意見もあると思います。別に押し付けるつもりはない。

でも、例えば、アジカンのジャケットがいきなり中村佑介さんのイラストじゃなくてメンバーの写真とかになったらどう思いますか?(多少は例外あるけど)

例えば、ヤバTのジャケットからタンクトップ君がいなくなったらどう思いますか?

例えば、andropが "Hikari" とか "Koi" とかみたいに、ただのローマ字だとしてもアルファベット表記のタイトルに拘っているのは何故だと思いますか?

例えば、全部英語タイトルのフォーリミが "夕凪" を出した時どう思いましたか?その "夕凪" がアルバムに収録されなかった上に結局それ以降全く日本語タイトルがないことをどう思いますか?

そう言う要因はやっぱりあると思うんです。

コアなリスナー以外からも、タワレコでちょっと手に取った人からも、拘るところは拘り抜いてるなって思ってもらえるものを提示するのって、ひとつ大事なことなのかなと。

いう話です。

 

 

散々ボロクソ言うてきたけどグドモめちゃくちゃ好きですからね。文句言いながらCD全部買ってきましたからね。ほんまに残念。

俺の人生に多大な影響を与えたバンドですよ。なんせ人生で初めて行ったライブハウスでのライブがグドモなんです。ドーム公演やホール・アリーナでのライブはそれまでにも行ってたけど、いわゆるライブハウスでのライブに行ったのはグドモが初めて。

今でも覚えてる。2013年9月28日の梅田CLUB QUATTRO。大学2回生、部活の試合の帰りに直行して弟と合流して参戦した。同行したわけではないけど弟の彼女さんにも会って兄です〜弟が世話なってます〜て挨拶したのも覚えてる。関係ないけどあれから弟の彼女は何人変わってるんだろうか。

ライブ中はフロアが揉みくちゃで、ライブハウスってこんな感じなんやって感動したのを覚えてる。ダイブの発射台にもされたなぁ。なんかの曲が終わった後に横におった兄ちゃんとハイタッチしたなぁ。

やっぱ寂しいなぁ。

 

ラストツアー、行けるか分からんけどとりあえず大阪申し込んだ。よりによってガチのファイナルでしかも梅田のクアトロって何の縁だよ。当たりますように。

ええ曲やな。

 

では(=゚ω゚)ノ