いきなりですけどあべまの新曲いいよね。2曲MV出たけど両方いいよね。
公式ツイッターフォローしてるくせに情報見落としてたんやけど、2019年に初のベストアルバムをリリースするみたいです。
ん?
初のベスト?
あなたシングルコレクション出してませんでした?
あぁそうか、シングルコレクションとベストアルバムは別のものなのか、シングルコレクションはベストアルバムとは言わないのか、と思うと考えさせられるものがある。深い。
言われてみればそうなんですよね。どんなアーティストでも、シングル曲が全て名曲とは限らないし、逆にアルバム曲でもライブの定番曲やファンの間で人気な曲もある。そう考えると、シングル曲の寄せ集めをベストアルバムと言っていいのかはそりゃアーティストによるよな。じゃあどんな選曲をしたベストアルバムが本当のベストアルバムと言えるのか?ベストなベストアルバムって何なのか?人それぞれ、アーティストそれぞれやとは思うんだが。
今回はそんな事を考えながら、色んなベストアルバムを紹介する回になっております。
俺が思うに、CDの当たり前の要素である「収録内容」「曲順」「ジャケット」の3つが大事かなと。マジで当たり前ですけど。これらのどれにもアーティスト本人側のこだわりが感じられなければ、そんなベストアルバムは曲を詰め込んだただの商品になってしまうと思います。オリジナルアルバムやシングル以上に。
普段から大概のCDを買ってしまってる俺にとっては、ベストアルバムってなかなか手を出す気にならないんですよね。だってほとんどの曲を既に持ってるんやもん。何なら大体のベストアルバムはアーティスト側レコード会社側が契約満了するためにリリース枚数稼ぐもんやと思ってます。中途半端なベストはあんまり良いイメージないです。
だからベストアルバムの売り出し方って結構難しい問題やと思うんですよ。ファンアイテムとしての魅力を高めにいくのか、新しく聴き始める人への入門編にするのか。未発表曲なり初回盤のDVDなり、作品に何かしらの付加価値をつけないと元々のファンにはわざわざ手に取ってもらえないし、一方で少なくとも代表曲は網羅できていないと新規の顧客への間口を広げられない。
更には、人気曲であればあるほど、それまでの旧譜における立ち位置が際立っている場合がある。この曲はあのアルバムの何曲目に入ってるからいいんだ、あの曲はカップリング曲だからアルバムに一切入ってなかったのが良かったんだ、みたいな。
そう言った面で、ベストアルバムの収録曲の決め方でよく用いられる「ファン投票」って制作側からしたら割と楽な手法なんじゃないかなと。曲を決めるのは消費者サイドやから大多数の要望に応えられてるし、曲順も迷ったら得票数順に並べれば済む。
投票で決められたもので最近リリースされたところやと、グッドモーニングアメリカの初のベストアルバム「the BEST HIT GMA」とか。
すっかり人気が落ち着いて、たなしんのファイヤーも風前の灯と化しているグドモですが、俺はこのベスト割と気に入ってます。流通盤には収録されてこなかった曲たちが見事に票を集めて初の音源化。個人的に "カラツ風ガ吹キツケル" がずっと聴きたかったので大満足。1曲目が新曲でそれ以降は得票数順なんやけど、納得のメンツの納得の並び。ちゃんとファンの思いが反映されてるベストアルバムやと思います。
まぁ1曲目の新曲のMVでスベり散らかして台無しになってるんですけどね。羽生結弦も驚きの圧巻の滑り。そこだけ残念。諦めるな。開き直ってプロモーションでふざけるな。面白くないから。
後は、単純な話ですが、曲数の多いベストアルバムは買う価値あるよね。キャリアの長いバンドほど、代表曲も多いわけで。去年リリースされたBIGMAMAの「BESTMAMA」なんかもそう。
発表された直後にメジャーデビューしたから、早い話これもインディーズ契約の枚数稼ぎだったんだろうなと思う。でも、BIGMAMAは既に作品数がかなり多い上に、その中で色んなところからセトリ組んでくるから、どれから聴けばいいか分からない人には「BESTMAMA」は本当にオススメできる。やたら安いし。
他にも今年リリースされたTHE BAWDIESの「THIS IS THE BEST」、少し古いところやとandropの「and/drop」なんかもその類。基本2枚組でリリース順に並べて最後に新曲足しとけばまず間違い無い感ありますね。初心者に優しいベストアルバムです。
逆に9mm Parabellum Bulletの「Greatest Hits」なんかは、収録曲自体ではリスナーに媚びずに、上手く付加価値をつけた例かと。
本編のCDはそれまでの表題曲たった11曲をリリース順に並べただけ、新曲も無し。これだけだったらベストアルバムとしてはかなり物足りなかったかも。でも初回盤に20トラックものライブ音源が収録されてて、メンバーのライナーノーツも入れられてるから、そちらでファンにも良いアプローチができたのではないかと。まぁ9mmの場合シングル曲はどれも現役やから、初めて手を出す人もまず本編だけ聴いといて間違い無いけどね。入門編としては十分すぎるラインナップです。いつまで "Discommunication" で踊らせる気だこの人たちは。10年以上、いや5年以上メジャーでやってるバンドで、メジャーデビューシングルが未だに定番曲になってるバンド、他にいくつある?
ここまで曲目の話をしてきましたが、次はジャケットに焦点を当てようかと。
アーティスト側がそのベストアルバムの制作にどれぐらい入れ込んでるかって、ジャケットを見れば一発で分かる。冒頭で挙げた阿部真央のシングルコレクションなんかは、本人が写った撮り下ろしのものが使われてるから、ちゃんと本人が携わったことが伝わってくる。その話でいくと、さっきのBIGMAMAや9mmもジャケットはシンプルすぎたところがあったかも。
内容もジャケットも酷いベストアルバムってこういうのです。
本人達もネタにしている、The Mirrazの完全非公式ベスト。メジャーに行く間際に出したからまんま契約枚数満了のためのもの。公式のディスコグラフィーにすら載ってない。インディーズベストと称しながらインディーズ作品8枚(シングル2枚、アルバム6枚)ある中で何故か2枚のアルバムからしか選曲されてないのもめっちゃおもろい。出す意味あったんか?金かけてる感じはないけどそのわずかな制作費すら勿体なかったんじゃないか?
ちなみにそのあと出した公式なベストアルバムは一転、選曲を見てもジャケットを見ても良ベストです。やっぱりミイラズには木乃伊くんがいないとね。
ミイラズのインディーズベストもそうやけど、本人達が一切関わってないベストアルバムってほんま誰が買うんだよって話。収録曲、曲順、ジャケット全てにおいて何の思い入れもない。
その最たる例がこれ。
「クリープハイプ名作選」。懐かしい。本人達に全く知らされず発表されて、レーベル移籍問題にまで発展したのももう4年前。ビクターが勝手に制作したものやからインディーズ時代の曲は一切入ってない(何ならメジャーシングルのカップリングとして収録されたライブ音源が使いまわされてるからもっと印象悪い)し、ジャケットもメジャー作品のものをベタベタ貼り付けただけ。クリープハイプみたいな10年以上の下積みがあるバンドに対して、メジャーデビューしてからのたかだか2年ちょいのキャリアから掠め取ってきた曲詰め込んで、何がベストアルバムだよ。レコード会社と所属アーティストとの関係性が見えた1枚でした。
古いところまで遡ると、スピッツも自分達の意向に反するベストアルバムを巡ってトラブったみたいですね。そこまでしてリリースしないといけないもんなんやろうか?業界の話は分かりません。
逆に、収録曲、曲順、ジャケット全てにおいて完璧なベストアルバムってこういうのです。
「高橋優 BEST 2009-2015 笑う約束」。マジで非の打ち所がない。まず名前から凝ってる。「笑う約束」なんて言葉どっから出てきた。
メジャーもインディーズもシングル曲もアルバム曲も関係なく選曲、さらに4曲も新曲が入っている。曲順もリリース順じゃなくきちんと構成されていて、「選び抜かれた楽曲たちで新しいアルバムとして完成している」と言った感じか。更には「笑う約束」という作品名にちなんで、黒文字で刷られている歌詞の中で全ての「笑」の文字を赤文字に変えているという徹底ぶり。
リリースに合わせて "福笑い" の新バージョンMVも制作。
このアルバムは本当に今からでももっと売れてほしい。というか高橋優がもっと売れてほしい。主観です、完全に主観です。好きなんです優さんが。皆さんよろしくお願いします。
他には、今年リリースされたサカナクションの「魚図鑑」。
限定盤は3枚組で、それぞれに「浅瀬」「中層」「深海」という名前をつけてる。「魚図鑑」という作品名に沿ってコンセプトを一貫させつつ、完璧に自分達の楽曲を分析した上でそれぞれの立ち位置を把握しきっている。強い。選曲や曲順がしっかりしてるどころの話じゃない。新曲 "陽炎" も入ってるし、ブックレットやらDVDやらでもうボリュームがすごい。ロックバンドのベストアルバムでこれを越えるものは当分出ないと思ってます。
まぁ俺は買ってないんですけどね。
後はback numberの「アンコール」も良いですね。新曲こそ入ってないけど、全シングル曲をしっかり網羅しつつインディーズ曲・アルバム曲も人気どころを押さえてある。曲順、ジャケット、タイトル、販売形態も考え込まれてて良作やと思います。
知らん間におかんが買ってました。
内容的にはかなり良いんやけど結果として存在自体がネタになってしまったベストアルバムをひとつ。
出ました夢アド。俺すぐ夢アド出す。
夢アドが5人だった頃、当時の元メンバー山田朱莉が、流出した裏アカでのファンdisり&YouTuberとのスキャンダルで炎上し活動自粛。また5人で活動できるようにと「5」と言う名のベストアルバムをリリースするも、その直後に結局そのまま脱退。マジで見てられんかったね。このベストに関しては大人悪くない。山田さんが悪い。むしろ大人かわいそう。事務所もレコード会社もマネージャーもかわいそう。もちろんメンバーも。
黒歴史みたいになってしまってるベストアルバムですが、内容はほんとに良いです。それまでのシングル全部買わんでいいぐらいのボリュームで未収録曲も入ってる。初回盤DVDのライブ映像もぜひ。
いかがだったでしょうか。色々持論を展開してきましたが、結局はそのアルバムが売れてアーティストが広く知られればいいんです。俺は。まぁサカナクションとかback number辺りは既に意味わからんぐらい売れてるけど。今回肯定的に紹介した作品はほんまにどれも良いから、詳しくない人たちにも入門編として手に取ってもらえたらなと思います。ちなみに俺が今欲しいベストアルバムは赤い公園の「赤飯」です。
次は今売れてるどのバンドがベストアルバムを出すか予想してみたりするのも面白いかも知れませんね。俺は[ALEXANDROS]かSHISHAMOあたりじゃないかと。
最後に、俺が人生で初めて買ったベストアルバムを載せて終わります。高1の時にブックオフで中古で買ったのを覚えてる。そのあと結局全アルバム揃えるほどハマるんやけど、今思えば各作品から満遍なく選曲されてて、曲によっては再録もされてる、良いベストアルバムやったんやなぁと。
改めてELLEGARDEN復活おめでとう!!
新譜が出ることを楽しみにしてます!!
では(=゚ω゚)ノ